【七五三ガイド】第5話:神社でのお参り方法・当日の流れ


七五三を迎えるお子さんをお持ちの方の中には当日、どんな流れでご祈祷が進むのか知っておきたいという方もいるのではないでしょうか。ここでは事前に理解しておきたいこと、申し込み時までに準備しておきたいことなどについて川越八幡宮の権禰宜・岸野さまに引き続きお伺いしていきます。

 

YE0_8290

 

 icon-instagram  参拝をする前に覚えておきたいマナー

よく、神社で鳥居をくぐる前に一礼している方を見かけます。手水舎(ちょうずや)での手の清め方なども含めて、参拝時の正しいマナーを教えてください。

岸野さま:「そうですね。鳥居の前で軽く一礼していただいて。これは正面中央が神様の通り道ですから、鳥居をくぐるときや参道を通るときには真ん中ではなく、脇を通るようにします。その後、手を清めていただきます。これは水でもってお祓いをする、禊(みそぎ)というものなんです。本来は全身をお清めするんですが、象徴的な意味で手と口を清めていただきます。まず柄杓ですくっていただいて左からお清めですね。そしてもう一度、右に持ち替えていただきいて、手に水をすくって口を清める。飲まずに出してくださいね。その後、かけた左手をもう一度清めて、最後に柄杓を立てて水を伝わらせ、柄の部分を清めます。これは次の方のために柄杓を清めるという意味になります。最後に軽くお辞儀をして終わりになります」

YE1_2214 

 

  社務所でご祈祷の受け付け

お清めが終わったら、いよいよ社務所での受付です。受付時に気をつけるべきことがあれば、教えてください。

受け付けでは住所、子供の名前、年齢、性別を申込用紙に記入します。神社によっては直接、聞かれることもあるかもしれません。

岸野さま:「社務所の受付では、ご住所とお子様のお名前とお歳もお伺いしています。三才のお生まれなのか五才のお生まれなのかですね。男女の別も伺っておりますね。そこで是非お願いしたいのが、お子さんの名前に振り仮名をふっていただくことです」

ふりがなですか?最近は難しい読み方の名前も多いですよね。簡単な名前でもふりがなが必要ということですね。

岸野さま:「地名もそうですが、名前というのは読みにくいのもあります。読み間違いをしては申し訳ないので、忘れずにお願いしたいですね。ふりがなを書くようになっているんですが、結構忘れる方も多いので。神様に対して失礼のないようにという意味でも、是非お願いします」

YE1_6309

 

 

icon-instagram ご祈祷はどんな風に進むの?

七五三の場合、受付を終えて、ご祈祷を受けるまでに待ち時間があることがほとんどです。川越八幡宮ではこの後、参集殿と呼ばれる建物で案内されるまで待つことになるそう。どちらの神社でも待合場所が用意されているはずですので、そこで待機しましょう。案内があれば、いよいよ拝殿でのご祈祷です。ご祈祷自体はどのように進んでいくのでしょうか。

岸野さま:「まず最初に皆さま方が、いろいろ災いがないようにお祓いをさせて頂きます。その後にお名前を申し上げ祝詞(のりと)を奏上(そうじょう)して、ご祈願を行います」

のりと、ですか?聞きなれない言葉ですね。

岸野さま:「そうです。祝詞ですね。これは神様に、ご祈願をする言葉になります。神職が私の方が神様に申し上げるもので、お子さん方が無事に育って、無事な成長できますようにという内容をご祈願します。その時に今、神様にご祈願しているお子さん、誰々誰々という風にお名前を申し上げるので、その時に間違いのないように、申し込み時に正確にふりがなを振っていただく必要があるんです。

その後、お子さん方のお祓いをして、そのあとご家族ごとに前に出てきて頂いて、玉串をあげて、皆さんでご拝礼をしていただく…という形になります」

 ここでお子さんには「ご祈祷の最中に名前が読み上げられるから、しっかり聞いていようね」と伝えるようにすれば、長いご祈祷の時間もお行儀よく過ごしてくれるかもしれませんね。ではご拝礼のときにはどんなルールがありますか?

YE0_8377

岸野さま:「はい、これは神社の拝礼ですから、二礼二拍手一礼ですね。まず玉串を、榊の小枝なんですが、玉串を捧げて頂いたあと、ご家族の皆さん、お子さんと二回深くお辞儀をして頂きまして、二回手を打つ。拍手ですね。最後にもう一度お辞儀をしていただいて、これが二礼二拍手一礼になります。

この榊の小枝に、榊である玉串に、自分の心を込めて神様にお供えする意味があるんです。玉串料というのは、この玉串の代わりになります。実際に拝礼のときには、玉串をあげて頂くんですが、玉串としてそのお金をお供えします。ですから、玉串料と書いてのし袋の方にお金を入れていただいても結構なんです。

拝礼が終った後に、ご祈願した札とお守り、千歳飴などの授与品をお渡し致します。ご祈願の流れとしてはこのような感じになります。全体で20分程度でしょうか。その後は神社の中に行っていただいても結構ですし、写真をお撮りいただいても結構です」

YE0_4132 

 

  神職の方はどんな気持ちで御祈願をしているの?

七五三だけではなく、厄払いなのでご祈祷を受け、祝詞を奏上していただいた経験のある方も多いでしょう。祝詞をあげる厳粛な雰囲気に思わず身が引き締まる思いがしますが、神職の皆さんはどんな気持ちでご祈祷をしていらっしゃるのでしょうか。ちょっと聞きづらい質問ですが、お伺いしたいと思います。

岸野さま:「そうですね。神主、神職というのは中執り持ち(なかとりもち)といいまして神様と祈願者様、人との間の、仲を取り持つ役目を持っているんです。私共に何か力があるわけではなくて、あくまでそのお子さん達やご家族を守って下さるのは神様なんですね。

その神様に、ご祈願者の代表として、代わりにお願いするのが私どもの立場なんです。あくまでその両方の仲を取り持つことが大切なので、神職自身の個性がでるのはよくないと言われています。いわば意思の器になって神様に、ご祈願をあげる、お気持ちを捧げるというのが一番いいことなのではないかなと思います」

 

YE0_4108

 

  子供が疲れないように配慮してあげることも大切

ご祈祷自体は20分程度と言っても、混んでいる場合は受付をしてすべて終わるまで1時間以上かかることも多いでしょう。その点を考えて、子供が疲れないように配慮しておく必要もありそうです。

七五三には車で出かけるという方も多いと思いますが、神社の駐車場が混雑して遠くの駐車場に車を停めなければならないこともあります。慣れない着物で長時間歩かないですむよう、早めに出かけたり、履きやすい靴を用意してあげるなどの配慮も忘れないようにしたいですね。

初穂料はあくまで祈願を受ける人の気持ちによるもの。厳密な金額が決められているわけではありませんが、相場は5000円からという神社が多いようです。地域によって異なる場合もあるので、場合によってはご主人や奥様のご両親とも相談する必要があるかもしれませんね。

 

初詣など普段、何気なく参拝している神社。七五三の機会に是非、正しい神社でのマナーを習得してみましょう。岸野さまが「七五三はあくまでも神事。形から入って心を込めることで、神事や神社についてもっと知ってもらえれば」とおっしゃっていたのが印象的でした。お参りのスタイルも初めは形から入って、そこに心を込めれば神様に感謝する気持ちも自然と湧いてくるようになりそうですね!